日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: AP-216
会議情報

DNA損傷と染色体異常
放射線感受性領域のゲノム配列のF344とLECラット間の比較
*須堯 綾辻 厚至須藤 仁美曽川 千鶴相良 雅史荻生 俊昭原田 良信佐賀 恒夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
Long-Evans Cinnamon(LEC)ラットは放射線高感受性で肝がんのモデルとしても知られているが、いまだ遺伝子の同定には至っていない。我々はラットゲノムクローンの一つをLEC由来細胞に導入すると放射線照射後の生存率やDNA修復が正常レベルに戻ることを明らかにし、放射線感受性領域を129kbに限定してきた。この129kbの領域のゲノム配列を正常ラットのFischer 344(F344)と比較したが、この領域の既知の翻訳遺伝子の配列には差がなかった。しかし、F344にはないintronless Rpl36aの配列がLECのゲノムに挿入されていることがわかった。Rpl36aの発現はF344よりLECの発現量が低く、他のintronless Rpl36aと同様に偽遺伝子であることが示唆された。偽遺伝子の挿入により周囲の遺伝子の発現が影響を受けることが報告されているため、この領域にある遺伝子発現断片(EST)を調べた。一つのEST(EST#4)がF344細胞では発現しているがLEC細胞では発現していないことから、EST#4がLECの放射線高感受性に関与することが示唆された。EST#4の7種類のsiRNAをF344細胞に導入したところ、3種類のsiRNAで発現が50%以下に下がった。この3種類のsiRNAをF344由来細胞に導入し、照射後の生存率を比較したがコントロールと比べて減少しなかったため、EST#4が放射線感受性に関与しているかどうかはわからなかった。今後はEST#4の全長クローニングと抑制効果が高いsiRNAの検討を行っていく。
著者関連情報
© 2007 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top