日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: BP-232
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突然変異と発癌の機構
放射線誘発マウス胸腺リンパ腫細胞におけるIl9rの転写調節機構
*尚 奕柿沼 志津子甘崎 佳子西村 まゆみ小林 芳郎島田 義也
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抄録

【目的】我々は前大会で放射線誘発マウス胸腺リンパ腫(TL)においてIL-9Rが高発現し、Jak-Statシグナル伝達経路を介してcyclin D1の発現を上昇させることを報告した。しかしTL細胞におけるIL-9R異常発現の原因、すなわちIl9r遺伝子(Il9r)の転写調節機構はまだ不明である。本研究ではIl9r promoter領域の探索及び関与する転写因子の同定を目的とした。
【材料と方法】転写調節機構を調べるため、まずC57BL/6Nマウス由来X線誘発TL組織からIl9r高発現細胞株SKY8699を樹立した。5'RACE法で正常胸腺、primary TLとSKY8699におけるIl9rの転写開始点を決定した。次に、Il9rのexon1上流2000bp領域を正常胸腺細胞からクローニングし、PCRで長さの異なるDNA断片計7種類を増幅した。これらのDNAをpGL4.10[luc2] vectorに挿入して、Il9r promoter-luciferase vectorを作製しSKY8699にtransfectした後、Dual-Glo Luciferase Assay Systemでpromoter活性を測定した。
【結果と考察】正常胸腺、primary TLとSKY8699について、5'RACEで転写開始点を確認した結果、Genbankに登録されているexon1より上流50bpから330bpの間に転写開始点が存在したが、新たなexonはなかった。さらに正常細胞とTL細胞では転写開始点が異なることが明らかになった。Luciferase assayの結果、解析した領域内にpromoter活性領域が局在することがわかった。現在この領域の詳細な解析と作用する転写因子について検討を行っている。

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© 2007 日本放射線影響学会
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