日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: CP-108
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放射線応答とシグナル伝達
子宮頚がん放射線治療症例の生検腫瘍に対する放射線抵抗性マーカー遺伝子によるプロファイリング
*石川 顕一今留 香織大野 達也田巻 倫明岩川 眞由美
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抄録

放射線治療において、腫瘍の放射線治療抵抗性予測選別は、最適化した治療プロトコルを提供するために、重要な研究課題である。我々はこれまでに、ヒト培養細胞株を用いた発現解析から65種類の放射線抵抗性マーカーを同定し、報告してきた(日本放射線影響学会 第49回大会)(K. Ishikawa et.al., Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2006)。今回我々は、この in vitro 解析で見出した放射線抵抗性マーカーを用いて子宮頸がん25症例のプロファイリングを試み、その局所制御効果との関連を検討したので報告する。
当院で、放射線単独治療を受けた、病期IIIを中心とする子宮頸癌25症例を対象とした。6ヶ月後の局所効果は、完全消失21例(効果良好群)、部分消失3例(抵抗性群)であり、1年予後は再発・転移無し13例(効果良好群)、不良群6例(抵抗性群)であった。生検は放射線治療前及び治療開始1週間後(治療中)の計2回施行し、それぞれの腫瘍サンプルからトータルRNAを抽出し、マイクロアレイ(Codelink、GE healthcare)を用いて発現解析を行った。遺伝子は、上述論文内の放射線抵抗性マーカーのうち、「放射線抵抗性細胞株における照射3時間後の低い発現レベルが特徴である」遺伝子群を用いた。この遺伝子群は、COL6A1やCTGF、FBN1、FBN2、EFEMP1、ADAMTS1などの細胞外マトリクス関連遺伝子を含む12遺伝子である。
治療前・治療中の発現比によるプロファイリングのうち、上述遺伝子群のみに着目してクラスタリングした結果、治療後6ヵ月時及び1年時ともに、抵抗性群と効果良好群を区別する傾向がみられた。
以上、パイロットスタディの結果から、in vitro解析で見出した放射線抵抗性マーカーが臨床症例応用可能であることが示唆された。

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© 2007 日本放射線影響学会
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