日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: FP-245
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低線量・低線量率の効果
各種ラドン吸入条件下におけるマウス諸臓器中の抗酸化機能の亢進に関する基礎的検討
*中川 慎也片岡 隆浩迫田 晃弘水口 優子吉本 雅章石森 有花元 克巳光延 文裕山岡 聖典
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抄録
【目的】岡山大学病院附属三朝医療センター(鳥取県)で実施されているラドン療法の適応症には活性酸素に由来する生活習慣病が多く、その機構の更なる解明が期待されている。このため、汎用性があり当該施設とほぼ同様の医学的効果が再現できる動物実験用ラドン曝露装置の構築は意義が大きい。今回は、我々が試作した当該装置を用いマウスへのラドン吸入による抗酸化機能の変化特性を検討した。【方法】ラドン曝露装置(尾図計画(岡山)との共同開発)を用い、装置内の温度を25℃、湿度を80%、ラドン濃度を400Bq/m3あるいは4000Bq/m3にそれぞれ設定した。BALB/cマウス(雄、7-8週齢)にラドンを8、16、24あるいは48時間吸入させ、終了直後に対象臓器を摘出し試料に供した。【結果例】1)肝臓において、ラドン濃度が400Bq/m3の場合、抗酸化系酵素であるSODとカタラーゼの活性はともに吸入48時間後に有意に増加した。4000Bq/m3の場合、両活性はともにいずれの吸入時間後においても有意に増加した。これらの増加幅も、4000Bq/m3の方が400Bq/m3に比べ概ね大きかった。2)腎臓においても肝臓の場合と概ね同様の変化を示したが、両活性の増加幅は肝臓の方が概ね大きかった。3)脳と肺においても概ね同様の変化をしたが、肝臓や腎臓とは異なり、両活性の増加幅は400Bq/m3の方が大きかった。【考察】本ラドン吸入条件下において、マウス諸臓器において抗酸化機能の亢進を認めた。その増加幅は肝臓の方が腎臓に比べ大きかった。これは、ラドンは脂溶性が高く、相対的に脂肪含有量が高い肝臓に集積し易いことに起因すると考えられた。また、脳や肺は、肝臓や腎臓に比べラドン濃度の低い方で抗酸化機能が大きく亢進したことから、相対的にラドン由来の活性酸素に対する感受性が高いことが示唆できた。本報告では、他の抗酸化機能関連指標の変化特性についても言及する。
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© 2007 日本放射線影響学会
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