日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第50回大会
セッションID: HP-265
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被ばく影響とその評価
南太平洋における137Csの過剰なインベントリーについて
*山田 正俊王 中良
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抄録

海洋環境中、特に北太平洋の137Csは、主に大気圏核実験によるグローバルフォールアウトおよびビキニ核実験によりもたらされた。海洋に放出されてから50年以上が経過しているが、海洋では定常状態にはなっていない。海水柱中での濃度、鉛直分布パターン、インベントリーも時間とともに変化していることが予想される。北太平洋に比べ、南太平洋における海水中の137Csの鉛直分布に関する研究はほとんど行われていない。本研究では、西部南太平洋の水深が4000mを超える5つの海盆における137Csの鉛直分布を測定し、GEOSECS航海の報告との比較および海水柱中でのインベントリーの比較を行った。水深0-200mの137Cs濃度は、1.4から2.3 Bq/m3の範囲であり、その後1000mまで指数関数的に減少した。海水柱中でのインベントリーは、珊瑚海海盆での850 Bq/m2から南フィージー海盆での1270 Bq/m2の範囲であった。低緯度の測点に比べ、亜熱帯循環の中緯度の測点の方が、高いインベントリーを示した。これらのインベントリーは、グローバルフォールアウトにより予想される値に比べ、1.9倍から4.5倍高い値であった。西部南太平洋の水深が4000mを超える海盆におけるこの過剰なインベントリーの起源について考察する。

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© 2007 日本放射線影響学会
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