日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: AP-18
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DNA損傷・修復
マウス1価性チミングリコールDNAグリコシラーゼ活性の特性
*山本 亮平松山 聡井出 博山本 和生久保 喜平
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抄録
代表的な酸化損傷塩基であるチミングリコール(TG)を除去するTG-DNAグリコシラーゼ(TGG)として、マウスにはmNTH1とmNEIL1が同定されている。両者は共にapurinic/apyrimidinic(AP)リアーゼ活性を付随する2価性TGGであり、mNTH1はミトコンドリアに、mNEIL1は核に、主に存在すると考えられている。最近、我々はマウス臓器核内に、APリアーゼ活性を付随しない、新しい1価性TGG活性の存在を報告した。鋏と針を用いてマウス脾臓を破砕し、得られた核画分の高張処理を行い、大部分のmNTH1やmNEIL1などを除いた核抽出液を準備した。更にカラムクロマトグラフィを行い、TGとAP部位のいずれかを含むオリゴヌクレオチド基質を用いた活性試験により、大部分のAPリアーゼ活性を除去した、1価性TGG活性の精製画分を得た。これまでに知られているDNAグリコシラーゼ同様、本活性は複数の種類の損傷塩基を除去すると予想され、その候補として酸化ピリミジンが考えられる。酸化ピリミジンを除去する1価性DNAグリコシラーゼとして、既にSMUG1が報告されている。しかしながら、SMUG1は、ウラシル、5-ハイドロキシウラシル、5-ハイドロキシメチルウラシル、5-ホルミルウラシル(fU)を除去するが、TGや5,6-ジヒドロチミン(DHT)、5-ホルミルシトシン(fC)などを除去しないことが知られている。本実験では、SMUG1が除去するfUと、除去しないTG、DHT、fCの、いずれかを含むオリゴヌクレオチド基質を用い、1価性TGG活性の基質特異性を調べた。本活性は、TGに対して最も高い活性を示し、続いてfU、さらにDHTに対してわずかながら活性を示した。今回用いた反応条件では、fCに対する活性は検出できなかった。
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© 2008 日本放射線影響学会
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