日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: FP-5
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被ばく影響・疫学
東シナ海縁辺域における241Amのスキャベンジング過程
*山田 正俊鄭 建
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抄録
海洋環境中の241Amの主要な起源は、大気圏核実験によりもたらされた241Puの壞変により生成したものである。241Amとプルトニウム同位体は、海水中で粒子との反応性に富み、沈降除去されやすいことが知られている。プルトニウム同位体に比べ、海洋における241Amの分布と挙動に関する研究は極めて少ない。本研究では、東シナ海縁辺域における沈降粒子と海底堆積物中の241Am、239+240Pu、210Pbを測定し、241Amのスキャベンジング過程を解明することを目的とした。沈降粒子試料は、シリンダー型および円錐型時系列式セジメントトラップを用いて採取した。また、堆積物の採取はマルチプルコアラーを用いた。沈降粒子中の241Am濃度は2.6から7.3 mBq/gであり、水深が深くなるにつれて増加する傾向を示した。241Am /239+240Pu比は、水深100mで1.5、水深600mで2.1であった。241Amのフラックスも深さとともに増加し、1.5から170 mBq/m2/dayであった。また、沈降粒子中の241Am濃度およびフラックスには、季節変動がみられた。海底堆積物表層(0-1cm)の241Am濃度および241Am /239+240Pu比は、深さとともにほぼ直線的に増加した。この傾向は、210Pb濃度と同じであった。これらの結果から、241Amはプルトニウム同位体に比べ粒子による沈降除去が活発であり、210Pbの挙動に近いことが明らかになった。
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© 2008 日本放射線影響学会
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