日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第51回大会
セッションID: FP-16
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被ばく影響・疫学
広島原爆による黒い雨地域土壌サンプルのウラン236測定
*さふー さらた くまーる米原 英典星 正治今中 哲二遠藤 暁静間 清葉佐井 博巳
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キーワード: 広島原爆, 黒い雨, ウラン236
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抄録
広島原爆による“黒い雨”は、爆心地から北西方向に30km以上に及ぶ広域に降ったことが知られている。しかし、広島原爆による黒い雨地域で、セシウム137やストロンチウム90といった核分裂生成物を検出しようという以前の試みは、大気内核実験による影響が大きいためうまく行かなかった。非公式の資料によると、広島原爆にはウラン235が約51kg用いられ、そのうち912gが16キロトンの核分裂で消費された。またウラン235の一部は、235U(n,g)236U反応により236Uに変わった。ウラン236の大部分は、爆発とともに上空高く吹き上がって拡散したと思われるが、その一部は黒い雨とともに地上に沈着した可能性がある。そこで、表面電離型質量分析(TIMS)を用いて黒い雨地域の土壌を測定したところ、これまでに7つのサンプルから、236U/238U原子比として(1.2-8.6)x10-8の値が得られ、黒い雨の降っていない地域のサンプルからウラン236は検出されなかった。TIMSによるウラン236測定は、広島原爆の黒い雨にともなう放射能汚染について、貴重な情報を提供するであろう。
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© 2008 日本放射線影響学会
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