抄録
重粒子線は、生物効果が高く、線量分布の集中性にも優れていることから、がん治療に利用されている。放射線医学総合研究所を始めとする現行の施設の優れた治療実績をもとに、群馬大学を始めとする他機関でも治療設備の導入が計画・検討されていることから、重粒子線治療の今後の更なる普及が期待される。しかし、その基盤となる重粒子線の生物学的な作用機序はまだ明らかにされていない。そこで、本ワークショップでは、演者の先生方に、DNA損傷の修復や重粒子線照射による放射線抵抗性の消失といった内容をご講演いただき、現在までに明らかにされている知見を整理した上で、重粒子線と光子放射線の作用機序の相違、重粒子線の細胞殺傷効果をさらに増強するためのアプローチ、そして、今後明らかにするべき問題点について、議論する。