日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P1-21
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DNA切断と修復
XRCC1 knockdown HeLa細胞におけるアルキル化損傷の修復
*奥田 洋三山本 亮平松山 聡竹中 重雄井出 博久保 喜平
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抄録
塩基除去修復 (BER) は損傷塩基を修復する主要機構の一つとして、様々な生物に保存されている。BERは、特異的なDNA glycosylaseにより損傷塩基が取り除かれ、脱塩基部位 (AP site) を生成する過程に始まる。次に、DNA polymeraseによるDNA合成を経て、DNA ligaseによるDNA鎖の連結で完了する。X-ray repair cross complementing protein 1 (XRCC1) は、DNA ligase IIIだけでなく複数のBER関連タンパク質と物理的に相互作用することが知られており、足場タンパク質としてBER全体に関係していると考えられている。そこで、我々はshRNAを用いてXRCC1 knockdown細胞を作成し、Methyl methanesulfonate (MMS) が誘発するアルキル化塩基損傷の修復動態の検討を行った。まず、psiRNA-hH1GFPzeo G2(InvivoGen)を用いて、ヒトXRCC1塩基配列(NCBI : NM 006297)を標的とするshRNAの発現プラスミドを作製した。作製したshRNA発現プラスミドをリポソーム系トランスフェクション試薬により、ヒト子宮頸癌由来HeLa RC355細胞へ導入し、zeocinによる選別を行った。Western blotting分析によりXRCC1タンパク質量を調べた結果、shRNA発現プラスミド導入細胞では、空ベクターを導入したcontrol細胞のそれの44%まで減少していることが明らかとなった。また、コロニー形成能を指標とするMMS感受性試験では、1.5 mMのMMS濃度でcontrolと比べ、有意な生存率の低下を認めた。さらに、AP siteの定量法であるARP法を用いて、XRCC1 knockdownがMethylpurine DNA glycosylase活性に与える影響を検討する予定である。
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© 2009 日本放射線影響学会
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