日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: P3-127
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放射線被ばく影響・疫学
高密度マイクロアレイCGH 法を用いたマウス欠失突然変異の解析:第2報
*小平 美江子浅川 順一
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抄録
放射線の遺伝的リスクを評価するためにX線照射したオスマウスの精原細胞に由来するF1マウスについて、DNA2次元電気泳動法で突然変異のスクリーニングを行ってきた。前回は、BALB/cオス由来F1マウスに生じた5例の欠失突然変異について、高密度マイクロアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーション(アレイCGH)法を用いた解析結果を報告した。今回はB6C3オス由来のF1に生じた7例の欠失突然変異について、欠失の大きさと欠失端の塩基配列解析を行った。欠失領域を推定する目的で、それぞれの突然変異を生じたNotI部位を中心として約10Mbの領域に、1~5kbの間隔で選んだオリゴプローブを配置したカスタムアレイを作製し、欠失突然変異の検出されたF1マウスDNAのCGH解析を行った。対象とする欠失端周辺の塩基配列を正常マウスのものと比較し欠失の大きさを決定した。オス親由来のアリルに生じた6例の欠失変異体のうち、照射群での5例では:13Mb、10.7Mb、4.7Mb、4.3Mb、1.9Mbの欠失であることが分かった。また対照群での1例は2.3Mb、メス親由来アリルに生じた1例は2.5Mbの欠失であった。照射群の5例と対照群における母親アリルに生じた1例の欠失突然変異では欠失両端の塩基配列に相同性はなく、その近傍にも相同性を示す領域や特徴のある塩基配列は認められなかったので、非相同末端結合により生じた欠失と考えられた。他方、対照群の父親アリルに生じた自然欠失突然変異では、その両端に96%の高い相同性を示す約2kbの配列が認められ、両者の相同組換えによってその間に位置するDNA領域が欠失したと推定された。
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© 2009 日本放射線影響学会
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