日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第52回大会
セッションID: OC-4
会議情報

活性酸素・ROS
X線照射はA549細胞においてミトコンドリア機能亢進と遅発性細胞内活性酸素種産生を誘導する
*山住 雅之山盛 徹稲波 修
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【目的】アポトーシスを引き起こすシグナル伝達経路において、活性酸素種(ROS)が重要な役割を果たしていることが近年報告されている。当研究室ではこれまでの研究により、A549細胞において照射数時間後に細胞内ROSが上昇し、これがミトコンドリアからのチトクロムc 放出に関与していることを報告している(Ogura et al., Cancer Lett., 277:54, 2009)。本研究では、このROS生成増加のメカニズムを明らかにすることを目的として、放射線がミトコンドリア機能に対して与える影響について解析を行った。
【材料・方法】細胞はヒト肺腺癌由来A549細胞を用い、X線は10 Gyを照射した。細胞内ROS量はROS特異的蛍光プローブであるDCFDAを用い、フローサイトメトリーにて評価した。ミトコンドリア機能は、細胞の酸素消費率および細胞内ATP量を指標に評価し、ミトコンドリア電子伝達系complex I阻害剤であるロテノンおよびF0/F1-ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシンのこれらの指標に対する効果を検討した。
【結果】A549細胞にX線を照射すると、照射6時間後から有意な細胞内ROS量の上昇が見られた。X線照射12時間後における細胞の酸素消費率の計測では、非照射の細胞と比べ有意な酸素消費率の増加が観察された。また、この酸素消費率の増加はミトコンドリア電子伝達系complex I阻害剤であるロテノンにより顕著に抑制された。細胞内ATP量はX線照射後24時間まで経時的に増加した。このATP量の増加はF0/F1-ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシンの添加により抑制された。以上の結果からX線照射によってミトコンドリア電子伝達系の活性が上昇し、ROSを生成していることが示唆された。今後、放射線によるミトコンドリア活性化機構について検討を重ねる予定である。
著者関連情報
© 2009 日本放射線影響学会
前の記事 次の記事
feedback
Top