日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: S2-2
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シンポジウム2 放射線による細胞死を考える
放射線誘発アポトーシスとその増強
*近藤 隆
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抄録
アポトーシスは遺伝子制御された細胞死であり、がん治療においても、この効率的誘導が理想とされ、その過程に活性酸素・フリーラジカルが関与することが判明してきた。最近の研究で、温熱や超音波でも細胞内に活性酸素が生成し、これがアポトーシスに重要な役割を担うことが明らかとなった。興味あることに、生体にとって酸素は生命活動に必須の分子であるが、酸素はその特異的な電子状態によりビラジカルと称され、電子移動により、より反応性の高い活性酸素に変化し、老化、発癌、そして多くの疾患の原因となる。放射線は、直接水分子を分解して細胞内に活性酸素を生成する。さらにDNAと反応、DNA二本鎖切断を誘発し、放射線による細胞死の原因となる。特に、放射線アポトーシスにおいて、p53の役割は重要である。一方、照射後、二次的に細胞内に生じた活性酸素もアポトーシス修飾に働き、過酸化物はその増強に作用する。 本発表では、放射線アポトーシスについて、主にヒトリンパ腫細胞U937株を用いた場合の細胞内活性酸素修飾による影響について述べ、放射線細胞死におけるアポトーシスの位置づけについて考察する。
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© 2010 日本放射線影響学会
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