抄録
【目的】
長崎市被爆者の平均年齢は2009年3月末で75.4歳となった。2003年に長崎市が行った被爆者健康調査のデータを用いて、前期高齢者(65歳から74歳)、後期高齢者(75歳から84歳)、超高齢者(85歳以上)の調査後7年間の死亡を用い、前期、後期、超高齢者における死亡と生活環境との関連を検討した。
【方法】
長崎市が実施した調査には35,035人が回答し、そのうち調査時年齢が65歳以上の者は26,381名であった。全ての項目に回答した16,486名を解析の対象とした。2010年1月までに死亡したのは2,661名であった。各年齢層における生活習慣や環境の違いによる死亡率を比較した。
【結果】
前期高齢者、後期高齢者、超高齢者ともに死亡との関連を示した項目は性別、運動の有無、受診の有無、ADLの程度であった。主観的健康度、飲酒の有無、喫煙の有無については超高齢者では関連を示さなかった。飲酒については「飲まない」、「飲む」、「やめた」の順に死亡率が高かった。喫煙に関しては「吸っている」と「やめた」の2群における死亡率はほぼ等しく、「吸わない」群の死亡率より高かった。また精神的健康度と死亡については、前期高齢者においてのみ関連がみられた。