日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: OH-1-1
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H 放射線物理・科学
加速器質量分析法(AMS)を用いた歯エナメル質の41Ca測定による原爆被爆者の中性子被曝線量の推定
RÜHM WernerWALLNER AntonCULLINGS HarryEGBERT StephenEL-FARAMAWY NabilFAESTERMANN ThomasKAUL DeanKNIE KKORSCHINEK Gunter*NAKAMURA NoriROBERTS JRUGEL Georg
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抄録
41Caは主として安定核種の40Caが低エネルギー中性子を吸収することにより生じる。我々は、加速器質量分析法(AMS)を用いて爆心地から1.2km以内で被曝した13人の原爆被爆者から提供された16本の歯のエナメル質における41Caを測定した。バックグランドを補正した41Ca/Ca比は爆心地からの距離が遠ざかるにつれて19.5x10-15から2.8x10-15に低下した。測定した41Ca/Ca比は、同じエナメル質を電子スピン共鳴法(EPR)により測定して得られたガンマ線量とよく相関し、またDS02により計算から求めた41Ca/Ca比、あるいはもっと詳細な個別の線量評価から求めた41Ca/Ca比ともよい一致を示した。後者の場合、変数に誤差を含む直線回帰モデルの勾配は約0.85であった。これらの被爆者に対する、計算によるDS02中性子線量は約10から80 mGyであった。41Caの生成に関係する低エネルギー中性子の全中性子線量に対する寄与割合は、遮蔽条件により異なり、遮蔽が軽度の場合は寄与割合が小さく(10%;例えば屋外被曝で単一家屋から離れている場合)、遮蔽が重度の場合は寄与割合が大きい(26%;例えば複合家屋内あるいはその近傍における被曝)。これは、遮蔽物質により中性子線の局所的な速度低下を生じるからである。AMSは、ガンマ線との複合被曝の場合に、計算で求めた中性子線量の実証に有用であると結論される。
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© 2010 日本放射線影響学会
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