日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: OH-1-2
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H 放射線物理・科学
インド・タミルナドゥ州高自然放射線地域住民の個人被ばく線量評価
*松田 尚樹BRAHMANANDHAN G.M.吉田 正博高村 昇陶山 昭彦小口 靖弘寿藤 紀道RAJ Y.L.WINSLEY G.SELVASEKARAPANDIAN S.
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抄録
インド南端のタミルナドゥ州沿岸は海砂中のモナザイトに起因する高自然放射線地域として知られ、in situ測定ではChinnavillai村海岸において最大162.7mSv/yの線量を確認した(第52回大会発表)。住民の居住区域はこのような高自然放射線スポットに隣接しているが、住民の個人被ばく線量は知られていない。今回我々は、タミルナドゥ州の高自然放射線地域より24村67名、コントロール地域より12村20名の協力を得て、RPLガラス線量計による個人被ばく線量および住居内線量の測定を実施した。RPLガラス線量計はネックレス様に加工し、睡眠時間以外に常時着用することとした。また住居内では部屋の中央部、床より2mの位置にRPLガラス線量計をセットした。測定期間は約2週間とし、それぞれの結果は年間実効線量に換算し、ベースキャンプとしたタミルナドゥ州ナガコイルにおける線量をバックグラウンドとして差し引いた。すべての対象者の住居内線量と個人被ばく線量をそれぞれX軸、Y軸にプロットすると、相関係数0.753、傾き0.7464が得られた。この値はOSL線量計によるケララ州における結果(傾き0.7169)とほぼ等しく、住居内線量が個人被ばく線量に大きく寄与していることが示された。高自然放射線地域住民67名の平均年間線量は2.09mSvであったが、その中でもChinnavillai村住民5名の平均は7.17mSvで、最大値は14.17mSvであった。最新のインド国民平均余命を参考にすると、この住民の生涯被ばく線量は921.05mSvと推定された。
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© 2010 日本放射線影響学会
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