日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PA-6
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A DNA損傷・修復
AP site及びこれを含むクラスターDNA損傷収率の放射線の線質及びスキャベンジャー能に対する依存性
*椎名 卓也菅谷 雄基白石 伊世渡辺 立子横谷 明徳鶴岡 千鶴鈴木 雅雄
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抄録
AP site及びこれを含むクラスターDNA損傷収率の放射線の線質及びスキャベンジャー能に対する依存性 椎名卓也1,2)、菅谷雄基1,2)、白石伊世1,2)、渡辺立子3)、横谷明徳1,2,3)、鶴岡千鶴4)、鈴木雅雄4) 1) 茨城大学 理学部 2) 日本原子力研究開発機構 先端基礎研究センター 3) 日本原子力研究開発機構 放射線影響解析グループ 4) 放射線医学総合研究所 粒子線生物研究グループ 本研究では電離放射線によって生じるDNA損傷のうちAP siteに着目し、難修復性のクラスターDNA損傷を構成する要素としてのAP siteの収率の放射線の線質依存性を明らかにすることを目的としている。Sutherland等(2002)は、X線が照射されたヒト細胞中に生じるAP siteを含むクラスターDNA損傷(数ヘリカルターン以内に2個以上の損傷が生じる複雑な損傷形態)が、ピリミジン塩基あるいはプリン塩基の損傷を含むクラスター損傷と同程度の収率で生成すると報告している。しかし、より難修復性のクラスターDNA損傷が生じると考えられる高LET放射線照射に関する知見はほとんどない。さらにAP siteが他の損傷とクラスターを構成することでその後の修復過程に大きく影響することが、多くの合成クラスター損傷を含むオリゴヌクレオチドを用いた実験により明らかにされつつある。我々は、スキャベンジャー濃度を様々に変えたプラスミドDNAを試料として用い、これに異なる線質の放射線を照射した際に生じるAP siteとこれを含むクラスターDNA損傷の収率の違いを調べている。AP siteは、AP エンドヌクレース のひとつである大腸菌由来のEndoculeaseIV (Nfo)で処理することで、鎖切断に変換して検出した。試料中のスキャベンジャー濃度を変えることで、AP site生成に果たす直接効果と間接効果の違いについても調べた。本講演では、X線及びHIMACから得られる高LETのCイオンビームの照射により、AP site及びこれを含むクラスターDNA損傷の生成過程の違いを議論する。
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© 2010 日本放射線影響学会
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