日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PE-22
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E 放射線治療・修飾
水溶性ビタミンE誘導体の合成と放射線防護活性
*鍵谷 勤NAIR CKK
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抄録
「背景」:トコフェロールモノグリコシド(TMG)は水溶性で優れた生体防御能を有するが、その合成法は極めて高価である。
[目的]:本報告では、安価な水溶性ビタミンE誘導体の合成法を開発し、その放射線防護活性について述べる。
「試料」:テトラメチルクロマノールカルボン酸(TMCC、市販名:トロロックス)、無機アルカリ、アルコールなどが用いられた。
実験1(合成1):TMCC(2.5g)に1規定の水酸化ナトリウム水溶液(40ミリグラム)を加えてTMCC塩(2.6グラム)をつくった。
実験2(合成2):TMCCに等量のグリセリンなどのアルコールを加えて650℃・40分間加熱してTMCCのグリセリンエステルを作成した。
実験結果1(水溶性)
          水に対する溶解度(_%_)  比
TMCC         0.02     1.00
TMCC-Na        0.13     6.5
  TMCC-GE      0.63    31.5
実験2(放射線防護活性):放射線(25Gy)照射によるプラスミドDNAの損傷(主鎖切断による解環度をComet 試験法によって測定)に及ぼす1ミリモルのTMCC-NaやTMCCグリセロールエステル(TMCC-GE)の防護活性を調べた。
 放射線(Gy)  TMCC誘導体 DNA損傷率(_%_) DNA損傷防御率(_%_)
25         なし         54          46
     25        TMCC-Na    18          67
          25        TMCC-GE              5           91
結論: プラスミドDNAの放射線損傷はTMCC-NaやTMCC-GEによって防護され、TMCC-Gの防護活性は最も高かった。
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© 2010 日本放射線影響学会
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