日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第53回大会
セッションID: PF-13
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F 被ばく影響・疫学
高密度マイクロアレイCGH法を用いた放射線の遺伝的影響調査(2):720Kアレイを用いた予備実験
*小平 美江子中本 芳子三浦 昭子辻 隆弘今中 正明西村 まゆみ島田 義也古川 恭治CULLINGS Harry浅川 順一
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抄録
私たちは高密度(HD)アレイを用いた放射線の遺伝的影響調査の予備実験を行ってきた。実験法と解析法を改良した結果、マウス系統間に存在するCNVをモデルとした実験では領域内に位置するプローブ数が2-4個の小さなコピー数変異(CNV)についても約90%の高精度で検出できるようになった。この改良HDアレイCGH法を用いて、実際に自然および放射線関連生殖細胞突然変異の検出を試みた。改良予備調査で用いた超高密度2.1Mアレイ(合計210万個のプローブが3箇所に分けて70万個ずつ配置されている)は2-4 kbの小さなCNVを検出できるが、1枚のアレイスライドで1組のサンプルしか解析できない。一方、720Kアレイではマウスゲノムから約2.7 kb間隔で選ばれた約72万個のプローブが1枚のスライドに3組配置されており、1回のCGH実験で3組(6サンプル)について実験・解析ができる。以前に行ったマウスのDNA 2次元電気泳動法で検出された11例の遺伝子欠失は最小のものでも30 kb、多くのものがMbに及ぶ大きなものであったこと、アレイスライドの価格がHD-2アレイと同じであることを考慮して、720Kアレイを用いた。5 Gyのガンマ線照射したオスC3Hマウスを照射後8週以降にメスC57BL6と交配し、精原細胞由来F1を準備した。非照射オス由来のF1を対照とした。脾臓DNAを用い、照射群と対照群のF1 DNAを1組とした。照射群6匹と対照群6匹の解析の結果、観察プローブのlog2比の値が4個以上連続して変化している20 kb以上の大きい変異9例、3個以下のプローブしか変化していない小さい変異5例、合計14例の突然変異候補を検出した。これら14例についての詳細な解析結果を報告する。
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© 2010 日本放射線影響学会
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