抄録
我々人類が生まれた大地である地球と生命の歴史の研究は、記録媒体となっている地層や岩石の中の記録解読を主な手法として発展してきたが、解読の背景に、地球以外の要素である、太陽の歴史、更には我が銀河系の歴史が非常に大きな影響を与えたことが示唆される時代となった。その影響を解読する分析技術の開発と、深宇宙の観測、更に宇宙で起きている銀河同士の衝突やスターバーストのダイナミクスの研究が新しい地球・生命観を生み出しつつある。それは日常的な気象変動においてさえ議論されるようになった。銀河宇宙線(GCR)が曇の凝結核の原因となり気候を支配する、またGCRはゲノム進化に重大な影響を与えるからである。
地球史10大事件を以下に挙げる。
1 太陽系誕生と地球誕生(銀河同士の衝突?)
2 原始海洋誕生、プレートテクトニクス開始、生命の誕生、花崗岩地殻の誕生
3 強い磁場の誕生、光合成の本格的開始、酸素濃度の上昇
4 第1回全球凍結(23億年前;近接銀河の接近とスターバースト)、解凍後(21億年まえ)の真核生物誕生、酸素濃度の増加、超大陸の形成
5 第2回全球凍結(7.7-5.4億年前;近接銀河の接近とスターバースト)と解凍後(5.4億年前)のカンブリア紀の生物の爆発的進化、海水準の低下、大量の堆積岩の形成と酸素濃度の急上昇
6 古生代/中生代境界の生物大量絶滅(爬虫類の黄金時代開始)
7 中生代/新生代境界の恐竜絶滅と隕石衝突(哺乳類の時代の開始)
8 人類の誕生と進化、科学の発明
9 情報革命の時代(21世紀);人類中心主義からの決別、人類史の新時代と系外惑星の発見のラッシュ(地球は孤独か?)
10 人類の消滅とロボット新時代