抄録
トリチウムは天然放射性核種の一つであり、環境中に広く分布している。核融合炉では極めて大量のトリチウムを利用する予定であり、環境及び生物影響評価は重要な課題となっている。本WSでは、核融合トリチウムにおける使用予定量や閉じ込め技術など核融合施設全般を理解し、現状の環境及び生物影響研究と照らし合わせながら、将来の核融合炉の安全な運転に求められる環境・生物学的知見と、今後、環境及び生物研究が果たすべき役割について議論を行う。WSは5部構成で、核融合炉の概説、環境トリチウムの現状、施設トリチウムの環境移行モデル、トリチウム生物影響研究の現状と細胞レベル、トリチウム水による野生型とp53欠損型マウスにおける脾臓Tリンパ球の突然変異とアポトーシス効果について講演を行う。核融合炉はこれまで人類が経験したことがない大量トリチウム取扱施設となるので、平常時並びに事故時におけるトリチウムの環境影響と生物影響の評価に資するための科学的知見の蓄積が求められている