抄録
生命現象を総合的に理解することを目指し、システムズ生物学の研究分野が発展しつつある。このシステムズ生物学分野の現況を、用いられる計算モデルの観点から簡略に述べる。また、近年、欧米諸国を中心としてシステムズ生物学を放射線生物学に適用する試みが進行している[1]。この試みは黎明期に位置づけられる学問分野でありsystems radiation biologyとして分野の醸成が始まっている。これまでに放射線生物学に適用されたシステムズ生物学の報告例にスポットをあてるとともに[2, 3]、私自身が開発中のモデルにも触れながら、システムズ放射線生物学の今後を議論したい。
References
[1] H. G. Paretzke, Radiat. Environ. Biophys. (2008) 47: 3-4
[2] R. L.. Bar-Or et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2000) 97: 11250-11255
[3] G. J. Proctor and D. A. Gray, BMC Systems Biol. (2008) 2: 75