抄録
【目的】
長崎市被爆者の平均年齢は2011年3月末で76.8歳となった。2003年に長崎市が行った被爆者健康調査のデータと、調査後7年間の死亡を用い、死亡原因と生活習慣との関連を検討した。
【方法】
2003年の調査で回答したのは35,035人であった。そのうち調査時年齢が65歳以上で解析に使用する全ての項目に回答した15,864名を解析の対象とした。解析項目は性別、主観的健康度、運動の有無、飲酒の有無、喫煙の有無、一人暮らし、受診の有無、外出の有無、精神的健康度の9項目とした。2010年3月までに死亡したのは3,142名であった。死亡原因は悪性新生物、脳血管疾患と心疾患、その他の3分類とした。悪性新生物死亡は1,088名、脳血管疾患と心疾患の死亡は821名、その他の死亡は1,233名であった。
【結果】
「運動していない」と回答した者と「している」と回答した者のハザード比はがんにおいて1.34、循環器疾患において1.52、その他の疾患では1.42であった。「検診を受診していない」と回答した者と「している」と回答した者のハザード比はがんで1.39、循環器疾患で1.50、その他の疾患で1.36であった。飲酒、喫煙、精神的健康度においても同様の傾向であった。