抄録
【目的】三重県南部と和歌山県の一部地域でわずかに生産されている柑橘類、春光柑に着目し、その放射線防護効果および免疫増強効果の有無について検討することを目的とした。【方法】ICRマウス雄6週齢を用い、22±3℃、湿度60%の状況下で、飼料及び水は自由摂取とした。1週間の予備飼育後、2週間以上春光柑エキスを経口投与し、マウス血球測定を経時的に行い、春光柑エキスの放射線防護効果および免疫増強効果について検討した。照射群には2Gy全身照射した。対象群に対して5%以下の危険率で有意になった場合を有効とした。【結果】LeucocytesおよびLymphocyteについて、2Gy照射群に対して春光柑+2Gy群に、照射12時間後に減少抑制が認められた(p<0.05)。照射15日後より有意な回復が認められた(p<0.05)。SOD活性は、Control群に対して春光柑群に有意な増加が認められた(p<0.05)。【まとめ】2Gy照射群に対して春光柑+2Gy群に、放射線防護効果がみられた。そのメカニズムは、SOD活性の有意な増加より、春光柑の抗酸化効果が関与していることが示唆された。