抄録
低線量・低フルエンス照射実験では、細胞集団の個々の細胞がポアソン分布に従い不均一に被ばくする(マクロスケール)。一方、近年研究が盛んに行われているマイクロビーム照射実験では、1細胞の核を狙って一定量の放射線を照射することが可能であり、1細胞ごとの正確な被ばくを評価し解析を行うことができる(マイクロスケール)。しかし、このマイクロスケールとマクロスケールの放射線影響には、バイスタンダー効果の有無や吸収線量Gyの適用限界のため、両者をつないで議論することには、未だ多くの課題が存在する。各論であるバイスタンダー効果、放射線エネルギー分布の不均一性、さらにはマイクロドジメトリに触れる前に、これらの課題を分かりやすく概説したい。