日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第54回大会
セッションID: OA-2-5
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A: DNA損傷・修復
M期の凝縮した染色体におけるDNA修復:効率的なゲノム全体の除去修復と不活性な転写共役修復
*小村 潤一郎池畑 広伸森 俊雄小野 哲也
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キーワード: DNA修復, M期, 染色体
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抄録
M期には転写も複製も起こらないため、M期の高度に凝縮した染色体中のDNAは代謝の面では不活性なものと一般に考えられているが、一方、この時期にDNA修復が起こりうるとする報告も過去いくつかある。そこで、私たちは、M期に停止させたHeLa細胞における紫外線誘発DNA損傷の修復の効率を検討した。M期細胞のゲノム全体における(6-4)光産物の修復は、間期細胞と同じくらい急速であった。このことから、M期染色体の凝縮は、酵素などのタンパク質の標的DNAへの接近や核酸の代謝を必ずしも妨げるわけではないことがわかる。ただ、M期にすべてのDNA修復系が働きうるわけではないようである。遺伝子領域におけるシクロブタン型ピリミジン二量体の修復は、M期には非常に遅いことから、転写共役修復は働いていない可能性がある。これは、M期における転写停止が主原因と考える。
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© 2011 日本放射線影響学会
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