農村経済研究
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論文
産消提携運動の価値共創概念からの再評価
-生活クラブ生協と庄内みどり農協の共同開発米を事例に-
大西 偉益藤科 智海 小沢 亙
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2020 年 38 巻 1 号 p. 79-90

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抄録

産消提携運動は,1970年代に活発となった有機農業運動と深い関わりがあり, 有機農産物を適切に評価するために, 生産者と消費者が直接的な関係を構築したのが始まりとされている. 日本有機農業研究会が1978年に作成した提携の10原則を生産者と消費者の提携の指針としてきたが, 現状にそぐわないと再考の必要性が指摘されており, 新たな産消提携運動の指針が求められている. 本稿では, 「価値共創」の概念を用いて, 産消提携運動における生産者と消費者の関係を評価する. 「価値共創」とは, 近年の生産者と消費者の関係の変化を踏まえて提唱されたものであり, 生産者と消費者が一緒になり価値を創造するという概念である. また, 価値共創した結果, 消費者が感じる価値を「文脈価値」と呼ぶ. 本研究では, 生活クラブ生協と庄内みどり農協との産消提携運動を事例として, 双方へのヒアリング調査と生産者へのアンケート調査を実施した. これらの調査を基に, 生産者と消費者の関係を価値共創の4つの構成要素である「対話」「利用」「リスク評価」「透明性」で評価した. さらには, 消費者の「文脈価値」を, 消費者へのヒアリング調査等から明らかにした. 以上のことより, 産消提携運動を価値共創概念から再評価することができた.

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© 2020 東北農業経済学会
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