抄録
近年, 我が国では様々な原因により, 日常生活のすべてにわたり介護を必要とする重度身体障害者, 寝たきり老人等の数は著しい増加傾向にあり, また人口構成の老齢化と合わせ, このような障害者の介護は極めて重要な問題となってきている.そこで筆者らは, これら障害者および介護人の負担を軽減し, 障害者の自立生活の一助とすることを目的とした介助機器の1つとして, 車輪型移動ロボットシステムの開発を行った.本システムの特徴は, 移動機構として後輪独立駆動, 前輪パワーステアリング方式を用いた4輪車を採用したこと, この移動車に片腕9自由度のマニピュレータを一対, 介助動作用に搭載したこと, さらにこれら構成部の駆動制御に16ビット, 8ビットのマイクロコンピュータを階層構造にして利用したこと, 本システムの目的である介助動作の実現に対し, ティーチング・プレイバック機能を装備したことなどである.本システムの試作開発により, 介助用移動型マニピュレータの基礎技術の確立を図ることができた.