ロボットの視覚, 特に移動ロボットの視覚としては, 環境の三次元位置座標情報を取り込める機能は不可欠であり, このことから距離情報を直接測定できる視覚装置, たとえばレザービーム投射型のレンジファインダは今後広く使われてゆくものと思われる.本研究はレーザビーム投射型のレンジファインダ視覚装置が近い将来実現できるという認識に立ち, 特にそれを凹凸のある不整地の地図を得る視覚装置として用いる場合の情報処理系の構成法について検討を行ったものである.
その結果次のような知見を得ている. (1) レーザビームの走査を用いる限り, ビームが地表面に当る反射点群の補間法としては, ビーム点が放射上に分布することを利用することが望ましく, その一つの方式として「放射型スプライン補間」と呼ぶ方式が適当である.特に死角域を分離し, その区域について二次元的な連続性を考慮した補間法を別途行うことにより, 補間精度をさらに向上できる. (2) 視覚装置が過去に得た地形の情報を使用し, それを生かした新たな地形死角域の推定を行う, いわば「連想記憶想起形補間法」が構成可能である.そして, そのための地形形状の記憶法, 記憶情報の連想的想記法などについての本研究で提案する方式は, コンピュータシミュレーションの結果から妥当であることが認められ, 死角域に当る地形形状の推定性能を向上することができる.
このように本研究は, 知能的情報処理系を有するレンジファインダ視覚装置の実現可能性について論じたものであり, 併せてレンジファインダ装置自体の開発および, それらの情報の知能的処理法についての研究を, 今後より多く行ってゆくべきことの強調も行っている.
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