1989 年 7 巻 2 号 p. 145-153
本論文は2本のマニピュレータによる2次元空間内の物体の協調的操りに関するものである.マニピュレータによって物体を正確だ操るためには, マニピュレータの動特性だけでなく対象物体の運動も考慮にいれる必要がある.そこで, まず, マニピュレータと物体両方の動特性を考慮にいれた上で, 2次元空間における2本のマニピュレータによる協調的操り制御のための基礎方程式を導出する.ここでは特に物体の姿勢を表すのに, オイラー角やロール・ピッチ・ヨー角などの従来の表現のかわりに簡単なベクトルを用いる.次にこの基礎方程式に基づいて, 物体の所望の位置と姿勢を独立に達成するような制御系を既存の拘束条件付き制御法を応用して設計する.最後にシミュレーションによって本制御法の有効性を示す.