日本ロボット学会誌
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3次元モデルに基づくロボットシステムのためのマニピュレータ・キャリブレーション
石井 優坂根 茂幸柿倉 正義三上 芳夫
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1989 年 7 巻 2 号 p. 182-191

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抄録

従来のティーチングプレイバック制御での繰り返しの相対精度に対して, 3次元モデルに基づく次世代のロボットシステムにおいては, ロボットの絶対位置決め精度が, 高度なオフラインティーチングやロボット言語システムを有効に利用するためにますます重要となる.
本論文では, ダイレクトドライブ (DD) ロボットを対象とし, その機構モデルのパラメータを推定してベース座標系の位置と姿勢を求め, ロボット自身および統合ロボットシステムの絶対位置決め精度を改善することが可能なキャリブレーションについて述べる.
ロボットの機構モデルにおけるパラメータを, 内部パラメータと外部パラメータの2つに分ける.内部パラメータは, 各回転軸におけるエンコーダのオフセット値, リンク長および隣接座標系の変位とねじれ角などである.一方, 外部パラメータはロボットのベース座標系の位置と姿勢であり, 他のロボットシステムとの結合に用いられる.
ロボットの機構モデルは, 一般的なベクトル記法で記述され, 冗長なパラメータを許している.そこで, 本論文では最適パラメータの設定にヤコビ行列の特異値分解を適用している.
キャリブレーションパラメータの推定にはニュートン法による反復修正アルゴリズムを用いる.その入力データはロボットの異なる位置姿勢時での各回転軸のエンコーダ値およびハンド基準点の3次元測定装置による計測値である.
実験の結果, 実測値とキャリブレーションパラメータによる計算値との距離ノルム誤差は, 約0.4mmとなった.DDロボットの絶対位置決め精度が格段に向上する.
本システムは, マルチロボットやハンドアイシステムなどの統合ロボットシステムの絶対位置決め精度を確立し, オフラインティーチングやロボット言語システムを実現するための基礎を与える.

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