抄録
X線光電子分光法(XPS)の化学状態分析において,データ処理時の帯電補正は重要である.表面汚染炭化水素プロジェクトでは,XPSを使用している方々に帯電補正方法に関するアンケートをお願いし,通常使用している帯電補正方法と,表面汚染炭化水素を帯電補正の基準に使った場合のC1sの値について調査し,国内41機関,43名より回答を得た.その結果,表面汚染炭化水素のC1sによる帯電補正は広く使われていることがわかったが,C1s値には284.5∼285.0 eVまで幅があり,メーカー依存のあることが明らかになった.また,解析の目的にあわせて内部標準を使うなど補正方法を使い分けている機関も多かった.本稿では,アンケート結果を紹介し,実際の分析現場での帯電補正の現状について述べる.