Journal of Surface Analysis
Online ISSN : 1347-8400
Print ISSN : 1341-1756
ISSN-L : 1341-1756
論文
オージェ電子分光法における背面散乱補正
I.広い分析条件で使用可能な電子の背面散乱補正式の開発
田沼 繁夫
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 14 巻 1 号 p. 9-19

詳細
抄録

 AESによる表面定量分析において重要な電子の背面散乱について検討した.電子の背面散乱係数の入射角度依存性,およびそのエネルギーの平均値および中央値について,モンテカルロ(MC)法を用いてBe, B, C, Al, Si, Cu, Zr, Ag, La, Auの10種類の元素について検討し,電子の背面散乱係数の入射角度依存性を明らかにした.また,計算した10-30 keVの範囲では入射電子のエネルギーで規格化した背面散乱電子のエネルギーの平均値および中央値は背面散乱係数に強く依存し,その一次関数でよく近似できることが判明した.このときの係数は5 keV以下における実測値にもよく一致した.この電子の背面散乱係数をもちいて,加速電圧3-30 keV,電子線入射角度0-60°で使用可能な背面散乱補正係数の一般式を開発した.10-30 keVの範囲ではMC法による背面散乱補正係数とのRMS誤差は,先に述べた10種類の元素,over-voltage ratio U=1.5-100,入射角度α=0°-60°では3%以下であり,十分に実用的であった.10 keV以下の入射電子エネルギー領域ではIchimura-Shimizu [Surf. Sci. 112, 386 (1981)]のMC法による計算値と比較し,両者はよく一致することを確認した.したがって,ここで提案した背面散乱補正係数の一般式は広いエネルギー範囲,広い電子線入射角度で使用することができる考えられる.

著者関連情報
© 2007 一般社団法人 表面分析研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top