Journal of Surface Analysis
Online ISSN : 1347-8400
Print ISSN : 1341-1756
ISSN-L : 1341-1756
技術報告
XPS分析のためのAr-GCIBによる表面クリーニング条件の検討
三井所 亜子 稲葉 雅之
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 24 巻 1 号 p. 47-55

詳細
抄録

アルゴンガスクラスターイオンビーム(Argon Gas Cluster Ion Beam ; Ar-GCIB)によるスパッタは1原子あたりのエネルギーが小さいことや特定の条件下で表面を平滑にする効果(ラテラルスパッタ効果)などの従来の単原子Arイオンビームにないエッチング特性を有している.それゆえ,近年ではAr-GCIBとX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy ; XPS)を組み合わせた有機物の深さ方向分析に使われるようになった.我々はこれらの特性に着目し,Ar-GCIBが無機材料の表面クリーニングに使えるのではないかと考え,照射条件の検討を行った.条件検討に際してSi基板表面に存在する自然酸化膜がエッチングされないことを指標とした.その結果,Ar-GCIBの入射角はエッチングレートや表面粗さ,基板ダメージに大きく影響することがわかった.今回の検討においてはAr1000+では入射角を85°,Ar2000+では入射角を80° とした際,これらの影響を抑えた表面クリーニングが可能であるという知見が得られた.

著者関連情報
© 2017 一般社団法人 表面分析研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top