Journal of Surface Analysis
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24 巻, 1 号
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解説
  • 吉原 一紘
    2017 年 24 巻 1 号 p. 2-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/18
    ジャーナル フリー
    Common Data Processing System (COMPRO)はスペクトルデータ処理用のソフトウェアとして,VAMASプロジェクト(Versailles Project on Advanced Materials and Standards) の下で1989年から作成が開始された.COMPROを用いることにより,データ構造が異なるスペクトルデータをISO規格のデータ構造に変換することができ, ISO規格に基づくエネルギー軸や強度軸の校正が可能で,かつ,多くの研究者が提案した多様なデータ処理法を利用することができる.また,COMPROはスペクトルデータベースや表面分析に必要な物理定数のデータベースを備えている.
    COMPROはバージョンアップを重ね,現在はWindows 7, 8, 10上で動くVersion 12 (COMPRO12)が公開されている.本解説ではCOMPROに用いられている基本的なアルゴリズムの解説も含めて,COMPRO12の使用法を紹介する.
  • 西岡 孝明
    2017 年 24 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/07/18
    ジャーナル フリー
    マススペクトルのデータベースMassBankについて,それを必要とした質量分析の背景,設計コンセプト,メタデータの内容,データの冗長性,レコード作成を支援するツールの提供,データ検索機能,レコードの著作権とコピーの利用,日本質量分析学会による支援,データの社会的貢献,国際連携,データの品質,新しいMassBankの開発,マススペクトルデータベースの将来,MassBankのさらなる発展,について解説する.
技術報告
  • 西澤 侑吾, 松本 凌, 片岡 範行, 田中 博美, 吉川 英樹, 田沼 繁夫, 吉原 一紘
    2017 年 24 巻 1 号 p. 36-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー
    先端分析手法の一種であるX線光電子分光(XPS)は,物質の表面・界面の化学結合状態を同定できる.しかしながら,XPSスペクトルの解析は解析者の知識・経験によって結果が大きく異なる.そこで最近,この解析者依存性を抑制し,バックグラウンドを自動計算できるactive Shirley法が提案された.一方で本手法でもXPSスペクトルの形状によっては適切なバックグラウンド推定ができないことが分かった.特に,始点と終点それぞれのデータ点における強度の差が大きいXPSスペクトルに対して適用すると,XPSスペクトルとバックグラウンドが交差するという問題があった.この原因は“Shirley法を用いた初期計算で求めた仮バックグラウンドが既にXPSスペクトルと交差していること”であった.そこで本研究では,この“初期計算で与えるバックグラウンドがXPSスペクトルと交差する”という問題を抑制したアルゴリズム(初期端点調整型active Shirley法)を提案した.具体的には両端点の初期信号強度を自動調整するアルゴリズムを考案した.本手法の導入により以前に報告されたactive Shirley法と比較して適切なバックグラウンド推定が可能となった.またオージェピークが重畳した2価のCu 2pのXPSスペクトルの形状に適用できることが明らかになった.
  • 三井所 亜子, 稲葉 雅之
    2017 年 24 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー
    アルゴンガスクラスターイオンビーム(Argon Gas Cluster Ion Beam ; Ar-GCIB)によるスパッタは1原子あたりのエネルギーが小さいことや特定の条件下で表面を平滑にする効果(ラテラルスパッタ効果)などの従来の単原子Arイオンビームにないエッチング特性を有している.それゆえ,近年ではAr-GCIBとX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy ; XPS)を組み合わせた有機物の深さ方向分析に使われるようになった.我々はこれらの特性に着目し,Ar-GCIBが無機材料の表面クリーニングに使えるのではないかと考え,照射条件の検討を行った.条件検討に際してSi基板表面に存在する自然酸化膜がエッチングされないことを指標とした.その結果,Ar-GCIBの入射角はエッチングレートや表面粗さ,基板ダメージに大きく影響することがわかった.今回の検討においてはAr1000+では入射角を85°,Ar2000+では入射角を80° とした際,これらの影響を抑えた表面クリーニングが可能であるという知見が得られた.
エクステンディド・アブストラクト
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