抄録
XPSで定量分析するために純元素試料を測定し信号強度の相対比から相対感度係数を得る方法では,測定条件を同一にする必要がある.試料面の高さをそろえることもその一つである.タングステンとシリコンの純物質で構成され,それらの試料面の高さが同じと見なせるタングステンドットアレイを用いて,試料面の高さの違いがXPS強度に与える影響を除外した条件でピーク強度比の精度を検討した.各純物質のスペクトルピークについて,実験室温度の日間差が9 ℃である中間再現条件下で5日間の繰返し測定を行ったところ,強度比の精度は拡張不確かさで0.1%を達成した.XPS定量分析の精度はこの値程度までは改善できる余地がある.