抄録
X線光電子分光法(XPS: X-ray Photoelectron Spectroscopy)において,一般に用いられるAl Kα線(エネルギー 1486.6 eV)で検出できる光電子の情報深さは5~10 nm程度である.一方,より高エネルギーのX線を使用した硬X線光電子分光法(HAXPES: Hard X-ray Photoelectron Spectroscopy)では,Cr Kα線(5414.8 eV)を利用することで,情報深さをAl Kα線の約3倍まで拡張することが可能である.Cr Kα線のより深い情報深さを利用することで,スパッタリングによるダメージを回避することができ,さらに,HAXPESと角度分解測定の組み合わせにより,より深部の濃度分布情報を取得することができる.本稿では,これらの測定の実試料による応用事例を紹介する.