本研究の目的は、キャリア探索と就職活動中の取り組みとしての行動が、内定後の「満足・意欲」「不安」という感情に、どう影響しているのかを明らかにすることであった。関西圏3大学に在籍する4年生に対して、質問紙による調査を実施し、232名を分析対象とした。結果、キャリア探索の「情報収集」「自己理解」「キャリア支援活用」と、内定後の「満足・意欲」「不安」との間に相関は見られなかった。そこで、仮説モデルを作成して検討することにした。結果、「自己理解」は男女とも不採用経験後の「自分らしい就職態度の確立」に影響し、「目標の明確化」につながっていた。これらが内定先への「満足・意欲」につながることで、内定後の「不安」を低減させた。「キャリア支援活用」においては、不採用経験後の「他者への自己開示」「模索的行動」に影響しており、男性と女性では、「不安」への影響が異なることも示唆された。
以上のことから、キャリア探索はキャリアを構築する基礎部分であり、レディネスとしての機能を持っていると考えられる。キャリア探索を基礎として、就職活動を乗り越えていく力を身につけることで、内定後の「満足・意欲」が得られ、「不安」が低減されるのだろう。このように、キャリア探索は不採用経験というつらい体験を乗り越え、内定先に対する積極的な態度を形成する基礎になると考えられる。今後、これらの詳細を明らかにしていくことで、キャリア探索の促進におけるキャリア教育や支援の質の向上に貢献できるだろう。