ビジネス実務論集
Online ISSN : 2436-4142
Print ISSN : 1881-1221
研究ノート
インターンシップが中小企業の新卒採用に与える影響-情報経済学の視点から―
高木 綾子
著者情報
研究報告書・技術報告書 フリー

2022 年 40 巻 p. 1-10

詳細
抄録

 日本の人口は減少の一途を辿り、人手不足からなる労働力の確保が課題となっている。特に少子化の影響により新卒採用の未充足企業が増加し、従業員の数が少ない企業ほど未充足率が高くなっている。売り手市場の中にある学生は大企業に興味関心を寄せ、中小企業の新卒採用難の打開策が見えてこない現状がある。本研究は、先行研究で示された中小企業の新卒採用行動の結果から、採用システム上のインターンシップに焦点を当て、新卒採用結果に有意とされるインターンシップ内容を明らかにするためデータ分析を行った。データは富山県の新卒採用動向調査結果を用い、分析方法はヘックマンの2段階推定法を採用した。結果、中小企業の新卒採用満足度をあげるインターンシップ内容は「職業体験」「実業務体験」「企業説明と会社見学」で、「トップとの交流」は負の有意が確認された。これは、情報の非対称を解消し、目標の合意形成を図ることが重要であるとする情報経済学の視点と一致する。

著者関連情報
© 2022 日本ビジネス実務学会
次の記事
feedback
Top