日本の人口は減少の一途を辿り、人手不足からなる労働力の確保が課題となっている。特に少子化の影響により新卒採用の未充足企業が増加し、従業員の数が少ない企業ほど未充足率が高くなっている。売り手市場の中にある学生は大企業に興味関心を寄せ、中小企業の新卒採用難の打開策が見えてこない現状がある。本研究は、先行研究で示された中小企業の新卒採用行動の結果から、採用システム上のインターンシップに焦点を当て、新卒採用結果に有意とされるインターンシップ内容を明らかにするためデータ分析を行った。データは富山県の新卒採用動向調査結果を用い、分析方法はヘックマンの2段階推定法を採用した。結果、中小企業の新卒採用満足度をあげるインターンシップ内容は「職業体験」「実業務体験」「企業説明と会社見学」で、「トップとの交流」は負の有意が確認された。これは、情報の非対称を解消し、目標の合意形成を図ることが重要であるとする情報経済学の視点と一致する。
日本で働く技能実習生のキャリア形成の阻害要因を取り除く施策を見出す検証を行った。研究方法は、岐阜県高山市で活躍する外国人労働者11名(ベトナム人)に半構造化インタビューを行い、M-GTAを援用してそのモデル化を試みた。その結果、9の概念が抽出され理論的飽和が確認された。ストーリーラインは、スキル獲得と貯金、日本文化に触れることを動機に、スキル向上と自立、上司や同僚を働きがいとして、修了後においては日本および母国においてのキャリアプランを有していたが、実習受入機関で継続して働くプランを持つ技能実習生はいなかった。また、技能実習生のキャリア形成を阻害する要因として、「日本語を学ぶ機会の喪失」が挙げられた。
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