本研究では,拒絶過敏性の下位因子と社会的スキルが社交不安症状(Social Anxiety Disorder (SAD)症状)に及ぼす影響を検討した。健常大学生(N = 186)を対象に質問紙調査を行った。相関分析の結果,SAD症状と拒絶過敏性の下位因子の間に正の相関,社会的スキルと拒絶過敏性の下位因子,SAD症状との間に負の相関がみられた。拒絶過敏性の下位因子,社会的スキルを予測変数,SAD症状を目的変数とした重回帰分析の結果,関係破綻の不安と社会的スキルがSAD症状に及ぼす影響は共に有意だった。共分散構造分析の結果,関係破綻の不安と他者評価追従は直接SAD症状に影響を及ぼし,社会的自己像と真の自己像の不一致と他者評価追従は社会的スキルを媒介してSAD症状に影響を及ぼすことが示された。本研究の結果から,拒絶過敏性の下位因子によりSAD症状に影響を及ぼすプロセスが異なることが明らかとなった。