不安症研究
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総説
統合失調症患者に併存する強迫症状
宮崎 哲治森 祥子井上 蓉子田中 賀大薬師寺 晋石原 武士
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2022 年 14 巻 1 号 p. 40-46

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抄録

本稿では,統合失調症患者に併存する強迫症状に関する疫学,臨床的特徴,治療について概説する。一般人口に比べ,統合失調症患者における強迫症状の有病率は高い。統合失調症患者に強迫症状が存在することは,予後を悪くし,患者の情動と心理社会的機能に悪影響を与える。強迫症状を伴う統合失調症患者において,強迫症状について病識を欠く患者はわずか15.8%であり,純粋な強迫症患者中の病識を欠く患者の割合と類似している。治療には,薬物療法と曝露反応妨害法を用いた認知行動療法がある。第二世代抗精神病薬の使用によって強迫症状が誘発されている場合,薬物療法としては,原因となっている抗精神病薬の減薬や他の抗精神病薬への変更,アリピプラゾールの付加がある。抗精神病薬誘発性の場合も含め,統合失調症患者に併存する強迫症状についても,SSRIの投与は有益である。

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© 2022 日本不安症学会
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