不安症研究
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総説
双極性障害を併存する強迫症
宮崎 哲治石原 武士
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2023 年 15 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

双極性障害(BD)が併存する強迫症(OCD)患者(OCD-BD患者)の疫学,臨床的特徴,治療について概説した。OCD患者におけるBDとBD患者におけるOCDの有病率は高い。OCD-BD患者の場合,純粋なOCD患者と比べ,他の精神疾患が多く併存し,機能も低下し,OCDの病識も低い。一方の疾患に対する薬物療法がもう一方の疾患の症状を悪化させる可能性があるため,OCD-BD患者の治療は困難を極める。OCD-BD患者におけるOCD治療の第一目標は,気分安定薬によって気分を安定化させることである。その他,気分安定薬に非定型抗精神病薬を付加することも有効である。SSRIを使用する際は,躁転などを防ぐために気分安定薬や非定型抗精神病薬を併用し,かつ綿密な監視が必要となる。OCD-BD患者におけるOCD治療薬としてのメマンチンの可能性についても言及した。

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© 2023 日本不安症学会
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