2024 年 16 巻 1 号 p. 2-11
運動と身体的健康との良好な関連はよく知られており,精神的健康との関連に対する認識も例外ではない。しかし,「どの程度の」運動が効果的であるかといった具体的な指標は確立されないままでいる。本稿では,運動が不安やその他の精神的健康の指標に与える影響について先行研究の知見を紹介した。また,我々の研究チームが算出した至適運動時間及び至適運動時間からの乖離という指標が与える影響についても紹介した。運動の精神的健康に与える用量反応効果が明らかになれば精神疾患の一次予防や治療に有益となることが期待される。