抄録
本研究は,兵庫県41市町の2007年から2013年までの7年間のパネルデータを用いて,コメの土地生産性(作付面積あたりの収穫量)と気候要因および経済要因との関係性を明らかにすることによって,将来の気温上昇がコメの土地生産性に及ぼす影響を評価することを目的とする.本研究の結果から得られた主な知見は,1) コメの土地生産性と気温との間に,出穂前は25.9℃を最大値とする上に凸の逆U字型の関係が,出穂後は負の線形関係が示されたこと,2) MIROC5の結果を用いた将来の気温上昇による各市町のコメの収穫量の変化はRCP2.6で2.00%の減少から0.04%の増加,RCP4.5で0.28%から3.22%の減少,RCP8.5で1.90%から7.10%の減少が示されたこと,3) 兵庫県内のほぼ全ての市町が,わずかな気温上昇によってでさえ,コメの土地生産性が減少することから,気温上昇への適応策が必要であること.