不安症研究
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総説
初期対応における強迫症患者と家族への心理教育
向井 馨一郎松永 寿人
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2024 年 16 巻 1 号 p. 21-30

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抄録

強迫症(obsessive compulsive disorder: OCD)は,反復的な思考や行動「強迫観念」と「強迫行為」を特徴とする精神疾患である。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor: SSRI),認知行動療法(cognitive behavioral therapy: CBT),および,その併用療法が標準的治療として推奨されているが,本邦のOCDに適応のあるSSRIは2剤のみであり,CBTの普及も十分とは言い難い。OCDの治療は長期化しやすいが,標準的治療の治療効果を最大化し,再発・再燃予防の観点から治療開始後2年間に完全寛解に至ることが望ましい。そのために,治療初期における心理教育が治療全体の最も重要な介入のひとつである。本稿では,症例呈示をまず行い,OCDを中心に,本邦における強迫症診療の初期段階における心理教育について総括したい。

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