うつ病および社交不安症は,異なる臨床的特徴を有する一方で,「不安」や「抑うつ」といった共通の感情的症状を含むことが多く,しばしば併存することが知られている。しかし,両疾患の脳機能を直接比較した研究はこれまで多くはない。本稿では,安静時機能的磁気共鳴画像を用いてうつ病および社交不安症の脳機能を解析し,両疾患に関わる神経基盤を検討したHe et al.(2024)の研究を紹介する。その結果,局所レベルおよびネットワークレベルの両面から,うつ病と社交不安症に共通する脳機能異常と疾患特異的な異常が明らかにされた。本研究の成果は,両疾患の神経メカニズムの理解を深めるとともに,診断バイオマーカーの確立や新たな治療戦略の開発に寄与することが期待される。