抄録
本研究では,パニック障害の人格特性の因子と発症年齢の関連性について検討を行った。DSM-IV診断を満たすパニック障害患者288名(男性77名,女性211名)と健常者112名(男性43名,女性69名)に対して文書で説明を行い,同意を得て,NEO-PI-R,STAI(状態–特性不安テスト)を実施した。パニック障害患者は発症年齢が30歳未満の若年発症群(146名)と30歳以上の非若年発症群(142名)に分け,健常者群との3群について比較を行った。その結果,パニック障害患者の若年発症群は,非若年発症群と健常者群に比較してSTAIにおける不安尺度やNEO-PI-Rにおける神経症傾向の得点が有意に高かった。この結果はパニック障害における発症年齢と不安感受性との関連および,人格特性における発症年齢と神経症傾向との関連性を示唆するものである。