2015 年 6 巻 2 号 p. 72-85
本研究の目的は,Saving Inventory-Revised(SI-R)日本語版を開発し,ためこみ傾向を有する日本の青年の臨床的特徴について検討することであった。調査対象は365名の大学生・専門学校生であった。確認的因子分析の結果,SI-R日本語版は3因子構造であることが示された。内的整合性,再検査信頼性,妥当性ともに十分な値が示された。SI-R日本語版の合計得点について,欧米のカットオフ値である41点を基準としてためこみ傾向群と非傾向群に分け群間比較を行った結果,写真評価による自宅の散らかりの程度,強迫症状,特性不安,抑うつ,および機能障害において,ためこみ傾向群のほうが非傾向群よりも有意に高い得点を示した。以上のことから,ためこみ傾向を有する日本の青年の臨床的特徴が示された。