抄録
本研究の目的は,母親の育児不安の維持プロセスを,メタ認知療法(MCT)モデルをもとに検討することであった。MCTモデルをもとに,心配に関するメタ認知的信念が心配を強め,心配が育児不安を強める,というプロセスを想定したモデルを作成した。調査対象者は,保育所と幼稚園に子ども(3歳から5歳)を通わせている母親(N=188)であった。共分散構造分析の結果,心配に関するネガティブなメタ認知的信念は心配に強い正の影響を及ぼし,心配は育児不安に中程度の正の影響を及ぼすことが示された。ただし,育児不安尺度の下位因子である育児時間に関しては,弱い影響しか示されなかった。以上のことから,MCTモデルによる育児不安の維持プロセスが示された。